2012年2月21日火曜日

" Techno Temple, Chapter#2(テクノ・テンプル、第二章)"


2月19日(日)
わたしのホーム・クラブである、ベルグハイン(※実は、正しい発音はどちらかと言うと、「ベァクハイン」)に、
またお参りに、行きました。
個人的に、もうすぐベルリンに本格的に移住した日(201131日)から1周年と言うことも、あり。
音と思考にどっぷりハマって、
心から感じたり、悟ったことを、
今後の人生、とくにこの先につづく1年の指針にしようと、思ったからでもあります。


・・・で。その日の、お話。



★                ★                ★


わかっちゃいたけど、あのクラブは、やっぱり、ちがう。

「クラブ」っていうカテゴリでくくっていいのか、わたしにはもはや、分からない。
言わせてもらうなら、あそこはやっぱり、「テクノ・テンプル」。

なぜって、2010年秋からこっち、この1年ちょっとの間、
からだ張って、ベルリンでいくつものクラブ&partyに足をはこんでは、踊ってきたけど。
質も格も、何もかも(DJ陣、サウンド・システム、ダイナミックさと繊細さを兼ね備えたハコのつくり、
スタッフ&セキュリティを含めたサービスetc...)、
すべての要素において、
単にほかの「クラブ」たちと並べて語るには、
あまりにレベルが、違いすぎるから。

「テクノ」って、「からだで振動を感じとる音楽」なんだな、って、こと。

ここ最近になって、ようやく本当の意味で、わかってきた。
そして、それを本当の意味で、あそこまでリアルに体感できる場所は、
ベルグハインしか、ない。
(世界じゅうの良質クラブに行ったことがあるわけじゃぁ、全くないから、
本当のところは分からないけど、、、もしかしたら、世界中で、あそこしか???って、思っちゃうくらい。)
すくなくとも、ベルリンの、ほかのクラブで「テクノ」というジャンルの音楽を聴いてきても、
この境地に達することは、決して、できなかった。


ベルグハインの、フロアの、一等うしろ。
barから出てすぐのところにある、
ふたり掛け用ソファ(わたし的、特等席:その2。その1については、後述します。)に
ゆったりと、腰掛けて。
「・・・あなた方、、、どんだけ??!」ってなくらい、音とフロアを知り尽くした
照明アーティストさんによる「これぞ、光×音の、コラボレーション・アートの極み」的な、
瞬間瞬間の音にハマりまくってるフロア・ライティングにつつまれた、
まるで壮大な映画のような、
我をわすれてひたすら踊るクラバーたちを乗せてきらきらと光を放つ
愛するフロアをうっとりと、眺めながら。
信頼を置きまくってるガン硬派な熟練DJ
(わたしのお気に入りは、今のとこ、レジデントのBoris氏。ガン渋な、大人の色気です。)が
奏でる(っていうか、響かせる)音を聴き、
ポイントポイントで思わず唸ってしまうほどの、腕とセンスと
強靭(狂人?)な耐久力になされるがままに、
その振動に身を委ねていると。
からだじゅうの、あらゆる場所の、
ひだのいっこいっこまで、細かくビンビン、震わされて。

その繰り返しで、
ある瞬間、もう。
本当に、イッてしまいそうに、なる。
大げさな表現でも、まやかしでも、何でもなく。
音と、振動だけで。
涙が、出ちゃいそうなほど。

体感すれば、わかるよ。


       © Lovon Vincent

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で。
ホントはあんまり教えたくないけど、職業病(?)として、書かずにはいられない、
わたし的、特等席その1Berghainは。
(前述の特等席その2とどっちがイイかは、そのときの自分のコンディションと、好みによりけり、かな。)
フロア左後部、3Fpanorama bar(※ベルグハインは、建物の2Fに位置してるのね)へと上がる
階段の真下にポツンと、
しかし実はかなり計画的に(と見た)設置されてる、
相当しっぽり、音&振動を堪能できる、ひとり掛け用ソファ。
(ネットで公表するのちょっと勿体ないかと思うくらい、素敵なスポットなんだけど。
まぁ、結局ココには、なんだかんだで、
しばらくのあいだ居座ってても許される人の種類と強度?が限定されるような気がするので、
まぁいいか、と。。。笑)

フロアで踊ってる人たちの様子を、階段底部ごしに(これぞ本ものアングラ目線で)眺めつつ、
かつ、「ザ・テクノ」たる振動を直に感じ取ることが出来るという、
真のテクノ信者のための、ベスト・リザーヴド・シート。
(でもって、ひとり掛けなので、前述のふたり掛け用ソファに女の子ひとりで座っていると
ある一定の間隔でお約束のようにさばかなければならない、
若干軟派めべルグハイナーとの、少々煩わしいドラマなどもなく(笑)、
心底音に、集中できます。)

わたしは一昨日ココに、けっこう長い時間、
ゆったりと座って階段(の底部側)から、フロアで無心に踊る人たちを眺めつつ、
Borisのつくり出す振動をからだ中に感じつつ、
ものすごく色んなこと、考えていて。

この1年間にあったこととか、いろいろ考えてて
(そもそもなんで、ベルリンに移住してきたんだっけ。とか。
もっとずっと昔、それこそ子どものころからの自分の人生プログラムのこととか、いろいろ)、
その、思考の途中で。
日本にいる家族や、1年間会ってない&フェイスブックやツイッターでしか近況を知らない、
もしくは数える程の回数のeメールでしか連絡を取ってない、友だちや仲間たちのことが、
恋しくて仕方なくなって。
" I miss you. " 
って、心底、感じて。
そんな自分の感情と、音のタイミングが、パーフェクトに相まって。

ただでさえ感じやすいわたしのハートは、グッと鷲掴みにされ、
思わず落涙、してしまった。
(その昔、東京:代官山はunitの地下、サルーンで、某partyのアフターアワー中に、
おなじく音×感情でグッと来すぎて、誰にもバレないように壁のほう向いて、
ひっそり?ガン泣きしてたことは、あったけど。
えっと、、ここ、フロアに人が溢れ返らんばかりの、ベルリンはベルグハインで、、、
またやっちゃった、、、、汗汗)。


“なんだか、気づいたら。みじかい間に、ずいぶん遠くまで、来ちゃったなぁ、、、" とか。
べつにわたし、今のとこ、DJでも、ミュージシャンでもないのに。
まるで何かに取り憑かれたかのように、
好い 「音」「音」「音」を、追い求め続けて。
その結果、押し出されるようにして、
自然の流れでここベルリンへ、移り住むことになり。
とか。とか。とか、、、

いろいろ、感じて。思考して。


★                ★                ★


この日、フロアには。
いつもより、ベルグハインのスタッフの人たちの姿が、たくさん見られた。
(クロークのお兄さんとか、パノラマのバーテンのお姉さんとか、エントランスのロンゲのおっちゃんとか)
しょっちゅう遊びに行っては好きなだけガン踊ってるので、
かつ東洋人は覚えられやすいのか、わたしはわりと、彼らに顔が割れていて。
(スタッフによっては、"あぁ、キミね。いらっしゃ〜い" ってな感じで、Noボディチェックで入れてくれたりする。
だって彼ら、もうちゃんと、知ってるもんね。
わたしがいつも、どんだけガン踊ってもそのあとしゃっきりチャリ乗って&ヘッドフォン装備して、
帰ってくとこ。)

階段下でさんざん時間&空間を堪能(&落涙)したあと、ふたたび
お気に入りスポットその2のふたり掛け用ソファに戻って
(・・・というのも、例の場所に1時間くらい座っていたので、
あんまり長時間居座っちゃうとほかの方々に申し訳ないかと思って、、
いちおう時計と相談して、移動したのよ。意外に律儀だしょ。笑)
照明含めたフロア全体の総合アートをじっくり味わってたら、
さっきまでフロアの後ろのほうで踊ってた、
顔見知りだけどちゃんと会話したことは未だ無いベルグハインのスタッフのお兄ちゃんとか、
“うん?なんだかしばらく、無意味にそばに(ってか隣の床に)座ってるな〜??” とか、
あと去年、旅行であそびに来てたときに知り合ったフランス人の、
某いくつかの著名レーベルのブッキングやってる、
いつも大体フロア出ずっぱりのベルグハイン常連の女の子&彼女がいつも連れてるイケメンBFが、
めずらしくこんな後ろのソファんとこ来て、いろいろ話しかけてくれるな〜??”とか、
なんとなく、思ってて。

夜、家かえってからふと気づいて、
自分のあまりの鈍感さに、唖然としたんだけど。
" ・・・もしや彼ら、わたしの様子がいつもとちょっと違ったの気づいて、
気づかってくれてたの、、、かな???" と。


やさしいね。

だってみんな、ダンス・ミュージックが、好きで好きで、好きで。
つながっていて。
ここ、テクノ・テンプルで、
ご縁があって出逢った、同志だから。


テクノ・テンプルは、めちゃくちゃ硬質なようでいて、
かつ、はじめはちょっと排他的なようでいて、
でも、全然、そんなことなくって。

実はめちゃくちゃ、
本当の意味で誰にでも
(例を挙げると、きっと色んな理由で今は、上半身をつかってしか踊ることのできない、 
車椅子乗った身体障害者のダンス・ミュージック・ラバーの方々とかにも、それこそ当り前のように)、
ひらかれていて。

すっごく、あったかい。
That's why, I've never been lonely here, at this Techno Temple.
たまには孤独の中に放り出されてみたくっても、
決してひとりにしておいては、くれないほど。

ありがとう。

また、今週末。

          © Aril Brikha